能登の「雲助」

「瀬戸の花嫁」と語呂はあっておりますが、中身は大違い。復刻版「旅」、昭和9年11月号、P91「旅のお半と長右衛門」(三角寛)に穴水駅前の乗合自動車の運転手の乱暴さを書いているのですが、「客を取ってしまへば、あとは俺のものだといふ腹が質朴だけに露骨である。(中略)まるで雲助のやうなやり方だと思った。」とあります。「質朴だけに」とは言いえて妙。

同じ号のP81にもっとスゴイのがあります。「こっちがお客だかあっちがお客だか何だかわかりはしない。鉄道や船の従業員は近頃そのサーヴィス振りは実にどこもよくなったが、恐ろしくサーヴィスの悪いのは航空会社の従業員だ。まるで大官のやうにおさまってゐて不親切以上に横柄無礼だ。それでも日本航空会社はまだいい。満洲航空会社ときたらたまらない。」とは子爵・三島章道。航空会社でメシ食ってただけに、かような記事(いやー、初めて読んだ!)を見ると内心忸怩たるものがあるのです、ハイ。